アフェクティブ・コンピューティングの下位領域としては、仮想現実、AI、認識、ソーシャルロボット等が挙げられます。
これらの研究を進めていくと、あることに気付きます。
それは、機械とのインタラクションで我々の幸福量に影響が出るというものです。
つまり技術を使い誤れば、人間は不幸になる可能性もあるということです。例えばイスラエルでは既に治安維持のために、容疑者の心理を読み取るAIが実用化されており、多くの識者が倫理面で警鐘を鳴らしています。
また身近な例にも倫理上の問題は潜んでいます。チャットロボットは最近よく見かけるようになりましたが、広告マーケティングやメンタルヘルスの改善といった正当な用いられ方の影に隠れた不安材料も存在します。
シュギュラリティの提唱者は、「感情は知性をけん引する」と言って憚らないわけですが、現場の研究者はそのような声を意識しつつも、研究の手を止めていないのが実情です。
では感情を単なるデータ解析とは異なるものとして重視する人たちは、どのような概念だと認識しているのでしょうか。
彼らが言うには、人類の進化は感情なしには成立しなかったそうです。人間の抽象的知性が感情に支配されていることを踏まえれば、合理性のみで成立しているAIが感情を基盤にすることはできないだろうと言うのです。
AIのアルゴリズムが進化すると、まるで感情のように見えることはあるかもしれませんが、それはあくまでも観察者である人間の錯覚であり、本物の感情とは異なります。